不健全全開!なんでもありの不朽の名作「パタリロ!」―度が過ぎた下ネタ、アンドロイド、タイムワープ、同性愛 ― とりあえず10巻だけ読んどけ
ドラえもんより不健全、クレヨンしんちゃんよりきわどい耽美派漫画
「そっくりだ」何が?
冬休みに読みたい!「堀さんと宮村くん」のすすめ。という記事を書きましたが、
最近「パタリロ!」熱が再燃しているので(私の中で)、冬休みになんか読みたいという人に是非オススメしたいと思います。
「堀さんと宮村くん」は(おおむね)ピュアラブを描いたほのぼの学園ラブコメでしたが、「パタリロ!」はその真逆、ぶっちゃけ花とゆめで連載していたとは思えない内容満載のNGなし漫画です。まあピュアラブといえばピュアラブかもしれないけど(ある意味で)…。
「パタリロ!」をもしなんらかのジャンルに無理矢理分類しなくてはならないとしたら、「少女漫画」(花とゆめに掲載されていたから)、「ギャグマンガ」(なんだかんだでギャグが入っている)なのだろうけれど、おそらくどちらでもない、分類不能なまさしく「パタリロ!」というジャンルの漫画。
今日は「パタリロ!」のめくるめく耽美な世界を紹介します。
1.登場人物が全員異常
まず、出てくる人出てくる人全員頭がおかしい。
10歳にして一国の王たる主人公パタリロは、あり得ない頭の良さであり策士であり、お金大好きのクズであり部下に対してはブラック上司であり、さはさりながら部下おもいの素敵な王様。ちなみにいまは寸胴のブサイクだが将来的には超美青年になる模様。
Before(左。10歳) → After (右。17歳。左の長髪が17歳のパタリロ)
次に、準主役とも思われるバンコラン。
超美形であるうえにイギリスMI6(アメリカでいうCIA的なもの。ジェームズ・ボンドがいたところ)の凄腕エージェントでかっこよすぎるのだが、
ゲイ。男しか愛せず、美青年をみたら見境なく発情する。美少年キラーで眼力だけで美少年を虜にしてしまうことができ、しかもバンコラン菌という美少年をゲイにしてしまうという菌を振りまく。もうこの時点で意味が分からない。さらに美しい伴侶(もちろん男)がいるにもかかわらず超がつくほどの浮気症。
ほかの周辺キャラも、常識的な人や普通っぽい人は一人として登場しません。したがって全員ボケますが、全員ツッコミもします。でもツッコんだ人も頭おかしいので、最終的には読者が「いやお前が言うか」とツッコむというオチ。
2. 一般向けをギリギリ守る(?)きわどさ
いまだったら自主規制されそうなギリギリアウトな表現が果敢にも繰り出される。
千葉を「僻地」「ゴキブリですら生息できない不毛の地」「コーラのびんを放り出すとそれを神の国に返すために槍を持ったおじさん(千葉県民)が旅立つ」などとディスりまくる。
ちなみにこの作者は「翔んで埼玉」という究極の埼玉ディスり漫画を描き、掲載から23年越しに単行本化、なんと55万部を売り上げたスゴイ人なのだ。
もともとは1982年、83年に掲載されたこの漫画、去年マツコと関ジャニ村上信吾がやってるテレビ番組「月曜から夜ふかし」で取り上げられて再版され、なんと55万部売れたらしい(笑)
妙に具体的な性描写
そこそこ具体的なセックスシーンがある(花とゆめなのに)。しかもBL(笑)
これいいの?(笑)
さらに衝撃的だったのがこのコマ。
ビール瓶みたいのは入らない!って…爆笑。
まさかの自慰行為のシーンもある。
えっ
ちなみにのうないはBL(=ボーイズラブ)好きでは全くないのですが、BL好きじゃなくても「パタリロ!」のBLは不思議と気持ち悪くないです。これはたぶんマライヒがどうみても女にしか見えないのと作者が男(後述)でBLには興味ないからだと推測します。
3. 荒唐無稽すぎる
ギャグ漫画なのであり得ないことが起きるというのはわかってはいるんだけど、「にしてもあり得ないだろ!」っていうことが頻発する。
ツッコミがオノ
ものすごく痛そう。。。
超美青年がたちまちブサイクになる不思議メガネ
いつも国王パタリロの世話を焼いているタマネギ部隊。全員このように超美青年という設定なのですが
かつらとメガネをはずして休憩するタマネギ部隊の皆様
普段はかつらと眼鏡のマジックにより、みんな同じタマネギ頭&どこか愛着の湧くブサイク顔。
どういう感性をしていたらこの顔を思いつくのだろうか?
なぜ眼鏡をかけると口の形まで変わるのか。ドラえもんもびっくりなメガネ。
ちなみに、タマネギ部隊はバンコラン菌(既述)のせいで98%がゲイなので、新米タマネギの美青年がゲイになろうとするもなかなかなれずに激苦労するという回があります。これもかなりウケた。
「ぼくにはホモの才能がないんだ!!」(笑)
まさかの男が妊娠
いっても上2つはギャグ漫画の範疇でしたが、「まじで意味わかんねーよ!!!」ってなったのが、マライヒ(バンコランの恋人。もちろん男)が妊娠したとき。
しかもそういう設定(男が妊娠できる世界という設定とか)ならまだしも(?)、漫画の中の人もみんな「なんで男が妊娠??」みたいな感じで、なぜ妊娠できたのが何の説明もないままマライヒはなぜか子供を産む(笑)
ちなみに、「男が妊娠する」なんて現象、腐女子しか思いつかない発想だし、絵が綺麗だしあまりにゲイ率が高いので作者は女性だと思ってたらおじさんだった件。
「パタリロ!」作者の魔夜峰央先生。てかけっこうかっこよくね?
4. ちょいちょい胸を打つ小噺が挟まれる
「いやわけわかんねーから!!」ってツッコみたくなるわけわからなさとか、「ギャグマンガなのになんでこんな次から次へと美形がでてくるの?」みたいな絵の綺麗さとかも好きなんですが、パタリロがほんとにいいなあと思うのは、「幸せってなんだっけ?」「正義ってなんだっけ?」みたいな、根本的な問いを問いかけるような回がちょいちょい挟まれること。
中でも「神回」と呼ばれるのが「忠誠の木」と「Fly to the Moon」。
フランス革命の時代に誰かが主君への忠誠を誓うメッセージを刻んだという、パリの中心地に今も立っている「忠誠の木」。その忠誠の木にまつわる驚くべき裏話とは…
物語の内容は実際に読んで感じていただきたいのでここでは書きませんが、正解のない問いなので、読み終わった後もなんだかずっともやもやします。やはりいい作品ほど心に傷痕を残すものだなあ。
とりあえず10巻だけ読んでみて
ということで「パタリロ!」の魅力を切々と語ってまいりましたが、この漫画、めっちゃ長いです。全97巻。というか今も続いてるので100巻は突破すると思います。私も全然全巻読んだことないし、最近のパタリロもおもしろいのかも知りません。
でも、少なくとも最初のほうはおもしろいことは保証します。一話一話の読み切り型なので、最初から全部読む必要も全然ありません。
神回と評される「忠誠の木」と「Fly to the Moon」のなんと両方が10巻に収録されているので、まずは10巻を読んでみることをオススメします!
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