「明日、暇?」って聞くのは失礼だと思うんだよ
他人に「明日ヒマ?」と聞く人はデリカシーがない?
あなたは友達に予定を尋ねるとき、なんと尋ねますか?
「明日夜空いてる?」「今度の土曜、イベントいかない?」「金曜飲みに行けたりする?」
聞き方はいろいろバリエーションがあり得ると思いますが、私がもう10年余りもの間個人的に非常にイラッとしてきたのは、
「ねえ明日暇?」
という聞き方です。
イラッとする私の気持ちはこうです。
いや暇じゃねーから。忙しいから。「何時にどこで○○」っていうわかりやすい用事はなくても、仕事とか勉強とか、やるべきこと/やりたいことはあるの。だから暇じゃないの。もしあなたが私をごはんか何かに誘おうとしているのだとしたら、特にその時間に特定の用事がなければ喜んで行くけど、それはあなたのためにわざわざ時間を空けているの。そこをわかってほしいなあ。
暇っていうと、あたかも「あなた、やることなくて時間を持て余しているんだろうから、どうせやることないなら付き合ってよ」みたいにきこえてしまいます。
だから、私は「暇?」と聞かれると「この人はデリカシーがないな」「この人はほんとうにやることがなくて自身が『暇』だから、『暇』と聞かれてイラッとする感覚がわからないんだろうな」などと思ってしまいます。
もちろん、言っているほうはそんな意図がなくて言っているということはわかっているので、当然怒ったりはしないけれども。
でも「うん、特に用事はないよ」っていいかえるけど(←心が狭い)。
でも、どうしてもほんのちょっと他人のことを考えれば、「暇?」と聞くって発想にはならないんじゃないかなあ。。と思ってしまう。
「暇?」を文法的に考察すると
「暇(閑)」の意味を辞書で引いてみると
ひま【暇/▽閑】 の意味
- [名]
- 1 継続する動作などの合間に生じるわずかの時間。「食事をする暇もない」「暇を見て外出する」
- 2 事をするための一定の時間。「暇のかかる仕事」「手間暇」
- 3 自由に使える時間。なすべきことの何もない時間。「暇を持てあます」
- 4 休暇。休み。「一週間の暇をいただく」
- 5 主従・夫婦などの関係を断つこと。縁を切ること。
- [形動][文][ナリ]自由になる時間がふんだんにあるさま。なすべきことの何もないさま。「明日は暇だ」「商売が暇になる」「暇な人」
「明日、暇?」は、「明日、(あなたは)暇(なのか)?」の略なので、「暇」は名詞として使われているのではなく、明らかに「暇だ」という形容動詞として使われています。
そして、上にみてのとおり、形容動詞としての「暇だ」の意味は、
「自由になる時間がふんだんにあるさま。なすべきことの何もないさま。」
つまり、「暇だ」という言葉に「忙しいかもしれないけど、特に用事がない」という意味は全く無く、「やることが何もない」ことを意味するのです。
そして、「金曜、ヒマ?」と聞くことは、「金曜、自由になる時間がふんだんにあって、なすべきことは何もないよね?だったらクラブいこうよ」と言っているに等しいのです。これ、割と忙しくしている人に言ったら怒りそうですよね。
この「暇」の意味を考えれば、自分で「暇」というならともかく、他人に対して「暇」と聞くのは失礼きわまりないことが明らかなのです!(力説)
ちなみに、名詞の①の意味なら単に「特別な用事がない時間」というニュートラルなニュアンスなので、どうしても「暇」という言葉を使いたいなら、「明日夜、暇ある?」という言い方であれば失礼じゃない、かな。文法的には。それなら「予定ある?」って聞けばいいじゃないかと100%思うのだけど…
でも、「暇?」と聞かれて失礼だなと思うのは私だけなのかもしれない
しかし、実際には「暇?」と聞く人の、多いこと多いこと。
特に大学生のときは、ほんとうにそう聞く人が多発していました。まあ、大学生はたいてい暇だからね(学校や学部にもよるみたいだけど)。。
社会人になって、周りの人もみんな忙しくて、「暇?」と聞く人はだいぶ減ったけれど、それでもまだ「暇?」ときく人は結構いる。
あまりに多いので、ほとんどの人は「暇?」と言われても別に何とも思わないんだということに気付きました。
英語のAre you free?も「予定ある?」的なニュアンスなんだろうしな。たぶん。それと同じ感覚で使っているのかも。
言葉遣いは「自分に厳しく、他人にやさしく」
先日、「『主人』という言葉が死ぬほどいや」という女性作家さんの話をだれかがSNSでシェアしていて、それに「わかる~」「『旦那』もだよね」「『嫁』って言われるのもいや~」などといったコメントがついていました。
「主人」「旦那」は、夫が上で妻が下であることを含意しているとか、「嫁」は姑からの呼ばれ方だとか、嫌だという理屈はとてもよく理解できます。彼女たちは非常に正当なことを言っていると思う。
だけど、同時に、「ほとんどの人は別に『夫が上、妻が下』という意図なく『旦那さん』とか『ご主人』とか言ってるんじゃないの?『夫さん』って言葉はないし…」と感じてしまいました。
でもそれって、わたしの「暇?」という言葉に対していらだつ気持ちと、ほとんどの人は別に何とも思わない感覚とまったく同じことなんですよね。
だから、「暇?」に限らず、ヒトから自分が好きじゃない言葉を使われても、すぐにイラッとせずにもっと寛大になろうと思いました。
他方で、言葉のチョイスを含め、言葉遣いは、その人がどれだけ深く物事を考えているか、人格、心遣い、人物像を如実に映し出す鏡です。言葉遣いは、その人のことを尊敬するきっかけにも幻滅するきっかけにもなりえます。
だから、「自分の」言葉遣いにはよーく気を付けましょう。反対に、「他人の」言葉遣いには寛大に。
自分にきびしく、他人にやさしく。
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